例えば下の2つの画像はヒレナガカンパチのものですが
【①捕食モード】と
【②待機もしくは移動中】の違いがわかりやすい画像です。
①はムロアジの群れを潮上に追い詰めながら囲い込み、突入の準備をしている様子がわかります。
②は潮流があたる駆け上がり際で潮上から何か獲物が来ないか待ち構えてる感じがわかります。
回遊性の魚の多くは習性として潮流に乗って移動し【餌場】もしくは【餌になる群れ】を見つけた場合
潮流に逆らう形で獲物を追い詰めていきます。
これは大型魚と小型魚の泳力の差をうまく利用したもので小さな魚は潮に向かって追い詰められると
潮流の影響を受け対水速力が落ちます。
これにより大型魚やスプリンター系の魚は捕食しやすい条件を作りあげる事ができます。
イメージしやすく説明すると軽自動車とスポーツカーが競争した場合、下り坂であれば
軽い車体と重力の影響を利用して軽自動車でもそこそこ勝負ができますが
上り坂になると非力な軽自動車では勝負にならないのと同じ状態です。
上記を踏まえたうえでメタルジグを捕食させるための条件を考えてみましょう。
ジギングの場合、捕食に持ち込むまでのタイミングとして大きくわけ2つの方法があります。
(A)捕食者が餌になるベイトを見つけ捕食のスイッチが入っている状態
(B)餌を探して移動もしくは一定の場所で待ち構えている状態
パターン(A)【画像①】で大切なのはベイトとイーターの間にうまくジグが入れるかと言う事と
ベイトにあたる小魚に、より似た形状のジグ(マッチザベイト)であるか
またその魚が自分(捕食者)を見て逃げたように見える動きをしているかです。
魚探の反応はもの凄く良いのにバイトして来ない場合はジグがその場面にマッチしていないか
ベイトの群れが大きすぎてジグに興味を示さないかどちらかの場合が多くあります。
ベイトとイーターの間にジグが入る事がなぜ重要なのかと言うと小さな魚などを捕食する
大型の魚は陸上で言うと虎など肉食獣の位置づけに似ておりこのような肉食獣は
獲物を見つけそっと近づき襲うわけですがまれに獲物に反撃を受ける場合があります。
【窮鼠猫を噛む】という言葉があるように餌であるはずの生き物が捨て身で向かってくると
たとえ肉食獣でも気持ち悪がって後退してしまう場合があります。
これを水中に置き換えてイメージしてみてください。
イーターがベイトとの距離を詰め捕食のタイミングを計っている状態で
意識していない後方からユラユラキラキラしながらジグが近づいてくる・・・。
『なんだこいつら・・・気持ち悪いなぁ~・・・。』と感じ避けてしまいます。
まさしく【窮鼠猫を噛む】の状態になり警戒心が高まってしまいます。
逆にベイトに狙いを定め、今にも襲い掛かろうとタイミングを計っている状態で目の前を
ベイトにそっくりな色や形をしたジグが横切ったらどうでしょう?
しかもそれがアングラーの演出で弱ったり傷ついたベイトそっくりに動いたら?
当然、かなりの高確率でバイトしてきます。
なので船はよりその状態に入れるよう風や潮流を計算して投下ポジションを決めます。
下記は画像①を上から見てパターン(A)に持ち込むイメージ図です。
上の図は風と潮がやや同方向からの場合ですので船は風立てしながら下がっていきますが
潮が下方向からくる場合は図の左下方向から風上に登るように船は動きます。
つまり、船首は基本的に風に向かって立てますがジグができるだけ直下に落ちるよう
船は潮に乗せて動くと言う事です。
このような条件が一致した場合かなりの確率でヒットが生まれます。
また、ライントレースがうまくいかず船がイーターの後方側に入ってしまった場合でも
【逃げる】演出が上手いアングラーさんはヒットに持ち込める場合も多くあります。
いわゆる【腕】といわれるのはその辺りです。
イメージとしてはベイトがいったん自分(魚)に向かって来るものの慌てて逃げる感じです。
ロングジグを跳ね上げる【飛ばす】ジャークはこのイメージに近いと思います。
ジギングは水中をイメージする釣りです。なので【上手な方=想像力豊か】と言えます。
パターン(B)【画像②】の場合ベイトはまったくいませんがジグを投下してみる価値は十分あります。
なぜなら餌を探して待機している可能性があるからです。
その場合、パターン(A)のようにマッチザベイトなどを特に意識する必要もないうえ
とにかくジグが目立つので様々なアクションを試す事ができアングラーの腕の見せ所でもあります。
いわゆる【リアクションバイト】と言われるパターンです。
また、このような場合一人にヒットが生まれるとダブル・トリプルでヒットしてくる場合が多く見られます。
これはあたりにベイトがおらず餌(ジグ)の奪い合いになるためでひとつのジグに2匹のカンパチが
ヒットしたりする事もよくあります。
下は別日の画像ですが上で述べたパターン(B)でジグの投下から捕食スイッチが入り
トリプルヒットするまでの様子が一連の動きで良くわかる画像です。
画面右で
Aの群れを発見しGPS上の赤バツ印あたりから投下合図を出します。
見づらい場合はこちらのサムネールから拡大してご覧ください。
次の画像では画面左でターゲットである
Aポイントを船がうまく通過したのが確認できます。
それと同時に画面右の
Aについていたカンパチが落下してきたジグ(オレンジの矢印)に対して
フォールで反応し
Bまで追いかけて来ています。
82mの魚マークを見ると少なくとも1匹はフォールの時点でバイトしているかもしれません。
Aでキレイな隊列を組んでいた群れは
Cにくると完全にジグの奪い合いになり隊列が乱れています。
そこから幾つかのジグがジャーク(ブルーの矢印)をはじめた
Dで数匹の魚が
反応もしくはバイトを見せています。
魚探画面は右から左への記録ですのでこの場合A⇒B⇒C⇒Dはひとつの群れの一連の動きです。
見づらい場合はこちらのサムネールから拡大してご覧ください。
上記のデータは粟国釣行時のものですがこの時は確か最終的にフォースヒットしたと記憶しています。
下もパターン(A)がわかりやすい画像です。
*魚探の魚マークは常に左向きに表示されますがこれは必ずしも魚の向きではありません。
上の画像では潮流方向にベイトを追い詰めているので魚は右(船首方向)を向いています。
ムロアジの群れが後ろと下からイーターに囲まれ行き場を失いベイトボールになっています。
ベイトは追われる事で浮き気味になり、このような場合は移動速度も不規則かつ
速いので船は群れの動きを予測し、たえず先回りしなければなりません。
なので、短時間で投下⇒回収を繰り返し連続的にアプローチしなければ釣果に繋がりません。
いわゆる【ラン&ガン】をするので船とアングラーが一体となりチームワークが必要とされます!!
また、ベイトとイーターの間合いが無く間に入るスペースがないので船はベイトボールの真ん中を
割るようにアプローチする事になり、イーターがジグに興味をしめさない場合は
逆に群れを散らしまう事も多々あります。
ただ、この場面では中層の活性が上がる事でボトム曽根廻りの大型魚(海底付近の水色円)も
活性があがり興味をしめしウロウロしはじめています。
根魚や曽根を住家としている魚はよほどスイッチが入っていない限り、一定の範囲内から
外にはなかなか出てきてくれません。
なので『弱った魚落ちて来ないかな~!!』的な感じで上を見ながら縄張り内で待ち構えています。
フォール時にうまくその範囲内に落ちていけば思わぬ大型根魚などが
ヒットしたりするのもこの様な場面では多く見られます。
下は潮も緩く反応もまばらで魚も底にベッタリ張り付き典型的なパターン(B)の状態です。
この画面を見て活性のあがるアングラーはいないと思います(笑)
ところがこの場面でもジグを投下した所、ふた流しで小型のカンパチが7匹あがりました。
サイズが2kg足らずだったのでふた流しでやめてしまいましたが
このような寂しい画面でもダブル・トリプルヒットの可能性は十分にあるのです。
最後は余談になりますがヒットした魚があがってくる際の画面は以下のように映ります。
画面左の魚Aは割りと素直にあがっているので魚マークとラインがわかりやすく映っていますが
右側のBでは魚が暴れているのでラインテンションが張りそこから気泡が発生しているので
たくさんのノイズが現れています。
この時はダブルヒットだったので船から少し離れたサイドでファイトしている魚Cも映っています。
かなり長文の記事になってしまいましたがジギング・カンパチ編は以上です。
スマホを見ながら釣るというスタイルはまだまだ発展途上なので難しい部分も多々あるとは思いますが
アングラーさんが魚探を理解すると言う事はとても大きな武器になると考えておりますので
このような記事を掲載する事で少しでも良い釣果に繋がれば幸いです。
次回は【根魚と曽根周りの攻略法】あたりを考えています。
注*今回の記事はあくまでも当船での考え方と攻略法です。
各船長さんそれぞれの考え方があり多くの遊漁船にはそれぞれの攻略法がある事をご理解ください。
にほんブログ村